座椅子解体

座椅子を素手で解体しました。
ひとり暮らしを始めたときから使い始めてきたもので、ざっと七年になるでしょうか。うちにあった家具の中で、間違いなくもっとも使用した家具でした。肘掛けつきのタイプで、かなり快適な座り心地。あまりに快適すぎるので、創作や読書中に何度寝落ちしたことか。下手をしたら、布団で寝た回数より座椅子で寝た数のほうが多いかもしれません。
が、ここ数年は表面を覆う革が傷んできたようで、ポロポロとこぼれるようになりました。はじめは指の爪くらいの大きさの断片だったんですが、このごろは傷みが進行したせいか、ますます細かくなり、ホクロくらいのカスが無数に出るようになりました。これが掃除をしてもしても、すぐにたまる。座椅子の周囲のみならず、部屋中、家中にもなぜか広がり、このごろは仕事先のロッカーとかにも落ちてるようになりました。きっと体や服についたのがあちこち飛び散ってるんでしょうけど、ちょっとホラーでした。座椅子に侵食されている! みたいな。
で、今回引っ越しに際して処分することにしました。
が、市にそのまま任せると大型ゴミに分類されるようで、処分にお金がかかるとか。およそ3000円。新しいの買えるじゃん!
そんなこんなで、自分で解体して処分することにしました。
座椅子はカバー部分とスポンジ部分、そして骨格部分で構成されているんですが、カバーとスポンジは可燃ゴミで、骨格部分は小型金属ゴミとして出すことにしました。
小型金属ゴミは月に一回しか収集されず、それは明日。これを逃すともう捨てられないので、今日実行したわけです。
カバーをはずしてスポンジをはがすまでは、まあ無難にできました。家の中ではちょっとできないので表の道の上でやったので通行する人の視線がちょっと痛い感じもしましたが、恥は掻き捨てでございます。
で、問題は骨格部分。
鉄パイプを溶接して座椅子の形を作っているのですが、さらにこれを細かくしなければならぬのです。小型ゴミは、一応、30センチ以下の大きさのものという区分があるので。
これが花山薫とかなら座椅子の骨なんぞ二秒で鉄球にできると思うんですが、残念ながらこちとりゃ人間。戦闘力5のゴミです。そりゃもう悪戦苦闘。
で、鉄パイプをあれこれしているうちに、いくつか気付いたことがありました。
鉄をちぎるのは、意外となんとかなること。一度折り目をつけてしまえば、あとは折ったり戻したりを繰り返すだけで、ポロリと取れてしまいます。
そしてそうやってちぎった場所は、ちょっと熱いくらいの熱を帯びていること。そのうちなんかネタに使えそうです。
そして、解体とはパズルだということ。
ある方向にパイプをねじると、てこの原理が使えるような形になったり。ある部分をねじれば、うまい具合に外れたり。逆に、先にある部分をちぎってしまうと、力の加え方が変わって別の場所を曲げることができなくなってしまったり。
解体するにはもっとも効率的な手順があるはずで、それから外れてしまうとかなり苦労したり、あるいは細かくすることが不可能になってしまう。
筋力や道具によっても変わってくるでしょうけど、本当にちゃんと解体しようとしたら計算と計画が必要だと、最後に微妙な曲がり具合で終わってしまった鉄パイプ一本を見ながら思いました。
さて、そんなこんなで無事に解体しましたが。
座椅子なしの生活は、どうなんだろう……。すでにちょっと腰が痛くなってますけれど、よりかかる場所はなし。にゃー。