『刀語』

刀語 第一話 絶刀・鉋 (講談社BOX)

刀語 第一話 絶刀・鉋 (講談社BOX)

西尾維新の12ヶ月連続刊行の作品。その一作目。
刀の話らしい。というわけで、即買いしました。
感想……というか、最初のほうを読んで思ったこと。
悔しい(苦笑)
伝説の刀鍛治が生み出した十二本の傑作を、刀を使わない剣士が集めるという時代活劇なんですが。
あぁ、先にやられた感。いや、先にやったんだけど。異能力を宿した刀を持った連中に普通の刀で立ち向かうって話。まあ、つまんなかったらしいけどさ……。


伝説の刀鍛治が生み出した千本の刀。戦国の世、その刀を所有する数がそのまま国の戦力につながる、とさえ言われたほどの刀たち。その頂点に位置する十二本の刀――と、という設定や、その十二本の刀の名前やらを並べられただけで、僕は大興奮です。例えば、この巻で登場するのは絶刀・鉋(カンナ)。白色反転でネタバレしますが、頑丈さに抜きん出た刀で、とてつもなく強靭で絶対に折れず曲がらないという特殊な刀らしいのです。で、次回は斬刀・鈍(ナマクラ)。これは切れ味に特化した刀らしく、恐らく某斬鉄ケンのようになんでもかんでも切りまくれるんでしょう。わくわく。
とまあ、一歩間違えれば『斬』*1になってしまうような設定の中を、間違えずに駆け抜けてくれています。まあ、こういう設定がいわゆる厨臭いってやつなんでしょう。必殺技も叫ぶし。でもいいじゃん。俺は好きだ!


でもまあ、ぶっちゃけそんな興奮するほどおもしろかったかっていうと、そういうわけでもないんだけど(苦笑)
絶刀・鉋だって、その特殊能力をまったく有効活用されてなかったしね。作中にも書いていたけど、むしろ使い手の能力に対抗するのがメインだった(それでも地味な能力だったけど)。そもそも、なぜ主人公は今まで刀を見たことなかったのに、刀をへし折れるという自信があったのか。だいたい刀を見たことがないはずなのに、刀をへし折る技をよどみなく出すことができるというのはどうなのか、という疑問も出てこなくもない。
客観的に見たらたぶん、各分野の天才が集まった孤島で起こる殺人事件というあらすじのクビキリサイクルのほうがおもしろそうな気がする(まだ読んでないけど)。すげー刀よりは、すげー天才のほうがすごそうな気がするんじゃなかろうか、みんなは。
でもいいじゃん。
俺は刀が好きなんだ。
12冊全部買ってやろうじゃないか!
たぶんこのままじゃ終わらないと思うし!
これで一冊千円は高いと思うけどね! なんだよこの箱!


しかし同時期に清涼院流水も、読めば京都通みたいなコンセプトの話を書いているそうな。んー、そういう企画で話を書くってのも、予定の中にはあったんだよなぁ……まあ、そんな話はごまんとあるんだろうけど。
それはそれとして、京都に住んでからこっち、京都が舞台の話は読んでいてお得感があるので、こっちも気になります。といっても、京都が舞台の話でお得だと感じたのは『黒い家』だったんだけど……別に京都じゃなくてもいい。

*1:真剣は切れ味がある分あつかいやすいし素人から玄人まで幅広く使われている武士の基本武器  対して研無刀は見た目なんかは真剣とほとんど変わらねぇがあえて斬れない様に鋭く研がない分硬度と重量をかなり増加させて斬るより破壊を目的とした玄人好みのあつかいにくすぎる刀  使いこなせねぇとナマクラ刀より弱いただの鉄クズみてぇなもんだってのに何であのガキは?