五霊闘士オーキ伝

五霊闘士オーキ伝―五霊闘士現臨! (電撃文庫)

五霊闘士オーキ伝―五霊闘士現臨! (電撃文庫)

電車通勤のメリットは本をコンスタントに読める、ということでしょうか。
というわけで、積んでいた本を切り崩すキッカケとなって、着々と崩しているわけですが。
そんなこんなで、オーキ伝。いまや押しも推されぬ電撃文庫、その第一回の大賞受賞作です。


ある日宇宙人の宇宙船の墜落に巻き込まれて死にかけてしまった普通の高校生の主人公。彼はその宇宙人と魂を融合させることで助かるが、代わりに、その宇宙人の力を狙っていた別の悪い宇宙人に狙われることになってしまった。


――みたいな話かな。
こういう話、なんだか懐かしいっす。小学生のときに見ていた、夕方六時からテレ東でやってるアニメみたいな感じ。
各章で主人公は別の敵と戦い、新しい仲間が合流することで倒していく展開なんですが。どうも、勝因が偶然か敵の気まぐれかタイミングよく仲間が現れたからというのばかりなのは、いろいろ高度な駆け引きを見てきた今の俺には物足りないというか。正直なところ、電撃の大賞かと思うと、「?」と思ってしまう。どちらかというと『クリス・クロス』のほうが大賞に近い感じはした。
ただ、『電撃ゲーム小説大賞』を文字通りの意味で解釈すれば、その大賞受賞作と考えてもおかしくはないのかももしれない。ゲーム的感性、とでもいいましょうか。感覚的な話ですが、ゲーム的、アニメ的な感触は強く覚えました。その視点で見るなら、むしろこれ以降の大賞よりも正統派だと思う。
大賞の性格は、この翌年に大賞を受賞した『ブラックロッド』で大きく変わったのかも。そして四年後の『ブギーポップは笑わない』の登場でその流れは確定する、と。


歴史を感じた瞬間。
(ちなみに今の電撃の新人賞に、このゲームという字はなくなっています)