アクセルワールド

アクセル・ワールド〈1〉黒雪姫の帰還 (電撃文庫)

アクセル・ワールド〈1〉黒雪姫の帰還 (電撃文庫)

そして、ようやく売っているのを見つけた、電撃小説賞大賞受賞作。
電撃の缶詰が挟まってないなと思ったら、重版されたバージョンでした。発売から二週間で重版かー。早い、のかなぁ。
誰もが携帯型ネットワークシステムを装備している近未来、太っちょないじめられっこの主人公は誰もがあこがれる生徒会の副会長から、知覚を加速させるソフトを受け取る。加速した世界の中で、主人公は戦いが始まる――


と、短くまとめてみようとしたけど、SFで特殊設定も多いので(読んでて気にはならないが)まとめるのが難しい……。
いや、さすが、普通におもしろい。
ゲームと反射神経だけが取り得のいじめられっこが、スーパーゲームで美少女とともに活躍――っていつの時代の王道ストーリーだって感じですが、古臭さはなく、王道ならではの熱さがある。それまで惨めだった主人公が、仮想空間で羽ばたく姿の爽快感。
ただ、その華美な部分を支えるのは、苦々しい現実感。個人的には、「世代を超えて存在するいじめられっこ」を描いたところにはっとさせられる部分を感じます。未来にもいじめは存在する。だから、自然に感情移入して読めるのですが。


そんな感じでおもしろかったんですが、一番笑ったのが巻末の解説ではしゃぎまくっている川上さんなんですが……えー、人の本で二次短編書いちゃってますよ? いいんすかそれ?


あと関係ないけど、そして絶対に「それはない」と言われそうだけど、これを読んでて、我が拙作『さらばサムライ』を思い出しましたよ。いやはや。