象の背中

象の背中 スタンダード・エディション [DVD]

象の背中 スタンダード・エディション [DVD]

テレビでやっていたので見た。
末期がんであることを知った主人公が、今まで出会った人たちと別れを告げたり、残された時間を家族とともに過ごす様を描いた映画。
まあ、普通に王道のいい話で、よかったのだけど……
どうにも腑に落ちない点が、ひとつ。のどに刺さった小骨のように、気になってしかたない。


ネタバレとか気にする話ではないと思うけど(予告編とか見れば大体どんな話かわかる)、一応注意しておこうか。以下、ネタバレ。



なぜ浮気相手がいるのか?


主人公である親父さん(役所広司)、仕事第一な感じではあるものの、基本は家族思いとして描かれているのだけど。
ちゃっかり浮気してたりする。
途中までは、奥さんに心配させまいとがんのことは黙っていたり、息子にだけは「お前は長男だ。一緒に背負え」と打ち明けたりと、普通にいい父親として描かれていて、そういう風に感情移入ができていました。が、場面が変わって、いきなり知らん女性と親密な空気でいて、次のカットではベッドで裸でいたりされて、思わず「えぇ!?」と面食らってしまった。
作品全体としては、「残された時間を愛する家族と一緒に……」という雰囲気で統一されていたのだけど、「でもこの親父、浮気してるんだよなー」と思うと、なんというか、家族愛とか主張されても空々しく見えなくもない。「生まれ変わってもお前(妻)と一緒にいたい、もっと大切にしたい」とか最後に語られても、その30分前には浮気相手に対して「お前の顔が見たい。療養中の施設まできてくれ」とか言ってたりしては、なんか説得力がないというかなんというか。(結局、浮気相手との関係ははっきり清算しないまま終わる)


もしかしたら、「妻と愛人は別物!」という主張を前提として作られているのかもしれないけど(これなら一応説明はつく気がする)、でも視聴者であるこっちはそんな価値観は前提として用意してなかったので、なんともはや。
主人公はちょっと誘惑に弱い人間、という意味だったのかなぁ?
まあ、役所広司が演じてるなら浮気相手がいてもおかしくはないとは思うんだけど、あとはこういう雰囲気の作品で親父が浮気してるって設定の話は新鮮であることは間違いないのだけど、でもなんだか違和感。


この映画を見た人で、この浮気相手の作劇中の意味について合理的見解がある方は、お教えいただけるとちょっと助かります。