パララバ
- 作者: 静月遠火,越島はぐ
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2009/02
- メディア: 文庫
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死んでしまった片思いの彼から電話がかかってきた。彼の世界では、死んでいたのは主人公で、しかも殺されていた。
と、そんな話。
『タイムリープ』っぽいなー、と思っていたら、あとがきでタイムリープに触発されたって描いてありました。ただ、あれよりも粗というか、伏線があからさまだったり、ちょっと徹しきれていないところがあるけど。そしてタイムリープを読んだのはだいぶ前なのでよく覚えてないのだけど。
しかし、なんすかね。
それまで携帯電話を通してのやり取りだけで、出会ったことはなかった男女なわけです。結局出会わないまま、お互い死んでしまって、そして携帯電話ごしに協力して事件の謎を堕っていく。その、ひとつボタンの掛け違った世界が、もどかしくも切ないというか。
例えば、自分たちがもう別の世界にいるんだと主人公が実感してしまうシーン。
ファストフード店に入って、窓から大道芸人がパフォーマンスをしているのを見つけた主人公。彼に電話をしようとした瞬間、まさにその彼から電話がかかってくる。彼もまた、同じ大道芸人を見ているらしい。すぐ近くにいるのではないか。そう思ってどこにいるか確認すると、電話の向こうで彼がいるのはまさに自分が座っていた席だった、と。
切ねぇ……。
個人的に、今のツレとは数年、この主人公たちと同じようにメールや電話だけの交流してたので、感情移入も高まります。時折、「この電話の先にいる人は、実はよく似た別の世界に住んでいたりして」と思ったりなんだりしたこともありました。声は届くけれど、直接的に力を貸すことができないもどかしさとか、いろいろと自分の重いと重なる部分もあり。なかなかおもしろかったっすね。