染井

仕事先の人に「水道水うまいっすよ!」と熱弁したら、「……その辺の天然水でもいいんじゃない?」と言われました。かわいそうな目で。
なるほど、たしかに京都は名水が多いと聞きます。伏見とか酒所だし。いい酒はいい水でないと作れない。


そんなわけで、梨木神社に行ってきました。
御所の横ですね。
この境内にあるのが、染井という井戸。なんでも、京都三名水のうち唯一現存しているところらしいです。


ペットボトル片手に行ったところ、すでに数名の人が井戸の前でペットボトルに入れてました。ははぁ、さすがは名水。ただで汲めるとあっては人々も訪れるというものですか。
しかし。
井戸からポンプでくみ上げているのか、水は蛇口から出せるんですが。
水出しっぱなしかよ!
いや、一人でペットボトル5,6本入れるのはまあいいとしましょう。けど、一本ずつ入れたら蛇口止めたほうがいいんじゃないかなぁ? だばだばと排水されるだけの名水。うーむ。ただだと思うと、人間けっこういい加減なんですね。
ちょっとあきれながら、その人が汲み終わるのを待ちます。
その間、横を見て唖然としました。
その蛇口の横には手水場があるんですね。神社の入り口のところにある、ひしゃくで手や口を清めるあれです。
一応その清め方には手順があるんですが(左手、右手、口、口をつけた左手、ひしゃくの柄)、それ以前に、ひしゃくに直接口をつけてぐびぐび飲むって、そもそもマナーとしてどうよ?
一応、公共物なんだから。
ひしゃくから水を手に移しとって、そこから飲むっていうのが作法ではないですか……。


そんなこんなで、水汲みの順番がまわってきました。
まず驚いたのが、その冷たさ。うちの冷蔵庫よりも、よっぽど冷えている。
ところで、大学時代に、北野勝教授の出張講義を受けたことがあるんですが、そのときに「水は手間隙をかければかけるほどまずくなる」ということを聞きました。
ろ過して殺菌すればするほど、水道水はカルキ臭くなるわけですね。水のうまみを作っているミネラルとかは、一種の不純物になるわけですし。
で、この水は地下からダイレクトにくみ上げられたものですので、その辺は期待が持てるってもんです。
飲みました。
うむ。
口当たりが、まろやか(な気がする)。
飲んだあとに、口の中にほのかに甘味が残る(ような感じがする)。
たしかに、おいしい(かもしれない)です。


……貧乏舌ですいません……orz
わかるのは冷たいってことだけですよ! しくしく。


ところで、絶え間なく水汲みの人がやってきてたんですけど。あれはあのときだけなんでしょうか。暑い夏場ってこともあるんでしょうけど、あんな次々と水をくみ上げてたら、いつか枯れちゃうんじゃないかなぁ、とそこはかとなく心配になりました。
まあ、水は大切に。