『扉の外2』

扉の外〈2〉 (電撃文庫)

扉の外〈2〉 (電撃文庫)

なんだろう。俺はこういう特殊状況下でのゲームみたいな話が好きなのかもしれない。(神様マシーンもそういう方向を目指していたのかもしれないし)
ラノベ読みのくせにシリーズものが苦手で、ゆえに新人や読みきり系の話ばかり手にとってしまうのですが。前回がおもしろかったので、ためしに二巻を買ってみたわけです。
いやいや、おもしろいっすわ。
シリーズなのに二巻もおもしろいってなんとなく珍しい気が。いや、そんな読んでもないんですが。評判を聞く感じ、おもしろくなるにしても、4、5巻くらいから、みたいなのが多い気がするので(作品の方向性ってのはそれくらいにならないと固まらないものなのかも)。実際、期待しつつ読んだら肩透かし、みたいなことも多かったので。


前回はクラスごとに資源を奪い合うゼロサムゲームでしたが、今回は小集団ごとの特殊じゃんけん。やがて主人公はそのゲームの本質、そして本当の目的を知っていくわけです。
でも、この話はそのゲームそのものでなく、それに振り回されいく人間のほうですかね。閉鎖空間での自分の命綱を守るためのゲームの中で、露にされていく人間の卑しさ、醜さ。他者に優位に立とうとしたり。信じられないから先に裏切ったり。仲間と結束を深めるために弱いものを虐めたり。自分たちを哀れむために、逆に弱いものへ施したり。
いやー、どんどん暗くなっていきますねー。
こういうのは、なんていうんでしょうか。キャラの心理がしっかり描けている、というのでしょうか。人が壊れだすのにも契機となるエピソードがあるので、納得しやすいのかも。まあ、不安と欲望だけで、簡単に人は変わってしまうみたいですが(そもそも、人間は不安と欲望だけでしか変われないのか?)。
あと、あとがきが秀逸というか。これが本当かどうかはともかく、作品の空気が濃縮されています。「どんな話?」と聞かれたときに、「こんな作者が書いた話」と言ってあとがきの数ページを読ませるだけでOK。まあ、それで読みたくなるかはわからないけれど。


話の展開も飽きさせないように作ってあるというか、いちいち予想外の展開にもっていってくれるので、一冊も一気に読めました。まあ、予想外を作るための前振りがあからさまなところもあるので、この辺は先が読めてしまうって人もいるのかもしれませんが。素直な自分に感謝です。
期待して次巻も買えます。
次はどんなイヤらしいルールで問題が設定されるのか楽しみ。うひゃひゃ。