時をかける少女

時をかける少女 通常版 [DVD]

時をかける少女 通常版 [DVD]

ツタヤのカード更新時に一本タダだっていうから、借りてみた。
なんかかなり出来がいいと、あちこちで評判だったので、そこはかとなく期待をしてみる。


おお。
おおぉぅ。
主人公の少女の前向きさもあろう。
夏の日の空が青いこともあろう。
しかしなにより、この青春一直線な空気。友情、冒険、そして別れ。
さ、爽やかだ……。


まあ、過去に戻る力を身につけた少女の話です。
その力を使って、クライマックスには事件を解決しようと奔走するのですが――まあ、それはおいておこう。
中盤まで、主人公はこの力を使って楽しい毎日を送るわけです。抜き打ちテストで満点取ったり。妹に取られちゃったプリンを食べたり。カラオケで終了間際に開始時に戻るのを繰り返したり(笑)。
なんだろう。
過去にさかのぼって何度でもやりなおせるってのは、つまり永遠ってことです。
こういう、永遠の平和な日常、みたいな話、好きですね。
しかし、永遠なんてありえない。
楽しかった夏の日は過ぎ去ってしまう。少しだけそれを先に延ばせたとしても、別れはやってくる。
けれど、また会える。
時間は流れる。めぐりめぐって、もう一度会える時がくる。


永遠の限界とか、わりと好きなテーマなので、いや、かなり楽しめました。
でも、必ずしもこの日常が、楽園ではない、というのがミソだったかもしれないです。
例えばこの世界にもいじめがある。あるいは、死がある。
そういうシーンが垣間見えるたびに、少しドキリとしました。まったりとした、楽しい学園生活が基調となって話が進むので、そういう、ネガティブな要因がかなり違和感となって印象に残りました。
例えば、『耳をすませば』の空気でいじめとか死とかあったら、違和感じゃないですか(別にあれは永遠の限界とかがテーマではないけど、まったりという意味で一番最初に思いついただけ)。ほのぼのしていたのに、暗い部分が、ちゃんと存在して見える。
これは結構、重要な意味があると思うですよ。
作中の夏の日は、楽園でなく、現実だ、ということでしょうか。そこは、どこにでもある、我々のよく知っている日常で、特別なことなんて何にもない。
と思ったけど。
告り告られが横行している高校生活なんて、やっぱり俺から見たらファンタジーだよなぁ……。はぁ。なんだろ。爽やかだけど、どこか切ない。さっき何となく例に出したけど、『耳をすませば』を見たあととちょっと似たような……。
ん?
そういえば今思い出したけど、前に誰か『時かけ』と『耳すま』の類似性を説いているのを見たか聞いたかしたことがあるような。「耳すまの毒を薄めた感じ」とか言ってた気がするけど、なるほど、言い得て妙かな。