悪魔のミカタ

悪魔のミカタ―魔法カメラ (電撃文庫)

悪魔のミカタ―魔法カメラ (電撃文庫)


ラノベレーベルの新人賞に応募しているくせに、いまいちラノベを読み込んでいない俺ですが、その理由は大きくわけて二つありました。
1、そもそも小説読むの好きじゃない。
2、シリーズ化した作品を追いかけていくことができない。


さくっと1をスルーしつつ(えー)2のほうですが、今現在、ちゃんとおかけている作品はブギーポップシリーズしかありません。(ああ、あと杉井さんのもか)
じゃああとは何を買ってるかって、新人賞を受賞した作品やぱっと出の新人の作品、あとはこれはまれですがシリーズ抱えた作家が単発で出した本ですね。
ただぱっと出の新人は、ぱっと出で、ほとんどはそのあとに続く作品を見ません。そのまま、消えてしまう。つまり消えてしまうような作品ばかりを読んでいることになります。俺。だから小説を読むのがだんだんと億劫になってくる。悪循環。おもしろい話が読みたい!
となれば、売れるからシリーズ化する、ということを考えれば、おもしろいから売れるわけで、つまりシリーズ化している話はおもしろいはずだというのはわかるのですが……何巻もずらっと並んだものを最初から読むというのはそもそもうんざりします。だったら手軽にさくっとマンガとか読んでるほうがいい。そこに山があるから登る人もいるかもしれませんが、山があったら迂回する人間なのです。よく小説書いてますね。


で、その「シリーズ化してる作品」のひとつである、この悪魔のミカタ
第一巻が2002年出版。それからコンスタントに発行しつづけ、現在では総数20弱の刊行数を数えいまだ続く、立派に大作ですが。
ほんの気まぐれで、最初の五巻くらいを入手。
読んでみました。



いやこれはおもしろい。
こういったら怒られるかもしれないけれど、印象としては「西尾維新デスノートを足して3で割って足りない分にいろいろぶっこんだ感じ」。たしかデスノのほうが後ですが、まあ、それはどうでもいい。
超常的な存在を前提にして、その上で謎解きするミステリー。
例えば第一巻は、「写した者の写真を刺せば人を殺せるカメラ」。第二巻は「吹きかけたものを透明にできるスプレー」。それを使って起こる事件を追いかけるのだけれど、魔法アイテムの基本的な使い方に収まらず、その応用にまで踏み込んで描き倒す。まだ二巻までしか読んでないですが、「透明スプレー」を使った終盤での必殺技は、身震いしましたぜ。
と、基本はそこなのだけど、キャラが濃ゆい。濃ゆい。濃ゆい。一歩間違えたらみんな狂人なのだけど(半歩踏み出てる感もあるけど)、登場人物はあまねくぶっ飛んでいる。


そして、展開に容赦がない。
大体は、その話が終わったらいろんなものがリセットされる、ないしはプラスされるものだと思うのですよ。
冒頭で困難にぶち当たり、それを解決するまでが物語ですから。乗り越えた先は物語開始時よりもよくなっている。苦難を乗り越えることで主人公が成長する、とか。
しかし二巻を終えた時点で、登場人物のひとりに消え得ない影響を残している。
そもそも、第一巻中盤でヒロインが死にますし。
なんというか、この話は油断がならない、という気がしてきます。


まあ、いまさらっちゃいまさらなのかもしれませんし、シリーズが進むにつれて俺のこの印象は的外れなものになっていくのかもしれませんが。
久しぶりに一気読みしたくなってきたですぜ。うひゃー。