『ぼっけえ、きょうてえ』

ぼっけえ、きょうてえ (角川ホラー文庫)

ぼっけえ、きょうてえ (角川ホラー文庫)


日本的なホラーを求めていた時期に我が妹様に薦められた本。
ちなみにタイトルの『ぼっけえ、きょうてえ』とは岡山の方言で『とても、こわい』という意味。
表紙からしてかなりおっかないので期待して読んだのだけど(ちなみに俺はずっと表紙を下にしておいていた)……。
僕にはホラーを読む才能が実はないのかもしれない。
あまり怖くなかった。
閉鎖的な村社会独特の『臭さ』は感じた。
『密告函』とか。コレラが流行った村で、役場の上役の死に際の命令で密告函という村人が病人と思しき者の名前をいれる箱が設置され、役所の下っ端である主人公がその回収係になった、という筋。コレラだとわかれば隔離病院に強制的に送られる。当時、隔離病院は病人の生き血を抜いて殺すものだと信じられていたから、誰かが密告したと知れれば病人の家族からはひどく恨まれた。その役をつづけるうちに主人公も歪んでいくわけですが。
どの主人公たちも、田舎という環境で行き場のない閉塞感に潰されかけて、ギリギリのところで保っています。そしてそのギリギリのところが何か事件であふれ始め、狂気に染まっていくわけです。
が。
なんだろう。
幻覚と現実が混じり合う描写がすごすぎて、逆に理解できてないのかなぁ。
うーむ。


結局本当に怖いのは死んだ者より生きた人間だよね、という結論でしょうか?
うーん。