『夜は短し歩けよ乙女』

夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女

ぉぉう……


京都を舞台にした、大学生の片想いの話。一方、片想いの相手である天真爛漫な少女の、自由奔放な日を描いた話。
夜の先斗町を、古本市の下鴨神社糺の森を、京大の文化祭を、そして風邪の猛威に閑散とする京の街を歩く彼女。その後ろ姿を見守りながら、彼女との「偶然の出会い」を自ら作り出そうとする彼。毎回、珍騒動に巻き込まれ、しかしそれをおもしろおかしく遊びぬく彼女と、それを追いかける彼――果たして彼の恋心は彼女に気づかれるのか。という運びであります。
彼と彼女の視点が交互に移り変わって、その珍騒動を裏と表両面から見ることができる二画面構成。これはなかなかおもしろかったです。ただ単に「表で起こったことが裏では別の意味を持っていて、さらにそれが表のほうにも作用する」という連鎖反応を見ているだけなのに、なぜにこんなにおもしろいのか。事件のドミノ倒し。


それにしても。
ついこないだ京大に行ってきたおかげで、ありありと文化祭のシーンが想像できましたよ。そして「屋上に行きたい」と白翁さんに駄々をこねたのを、もっとこね通せばよかったとぷち後悔。文化祭のクライマックスは工学部校舎の屋上だったのだ! この奇妙な符合! しかしニアミス! 惜しい! 惜しいだけに悔しい! 俺はいつも少しだけボタンを掛け違える!


しかし、これを読んだあとまた京大の学食に行ってみましたが。もう一回、今度は京都で学生やりたくなりますね。まあ、六年前、学力がおぼつかないゆえにあきらめた道ですが。そして千葉に行ったのはそれはそれでよかったとも思うのですが、「あのとき京都に進学していたらどうなっただろうか」という想像が沸き立つのも、また事実。
いいなぁ。
学食、安くておいしいくご飯は多いし、加えて広い。いいなぁ。部外者も入り浸るってもんです。


あ。
白翁さんからもらったセクハラキャンディーが普通においしいので困ってます。
ありがとう、白翁さん。大切にしゃぶります。白翁さんも、がんばって杉井さんの口にねじこんできてください。