魍魎の匣

魍魎の匣 (講談社ノベルス)

魍魎の匣 (講談社ノベルス)

最近バラバラ事件が多いなぁ、と思っていたら、そういえばこないだ読み終わったのを思い出した。
いや、おもしろかった。ひと月以上かけて読んでおいてあれだけど。さすが。ウンチクと物語がかみ合っている。魍魎と箱というふたつのキーワード(まあ、突き詰めればふたつもつながっているんだけど)を随所に織り込んで、魍魎というとにかく「わけのわからないモノ」を表現した、「一見、わけのわからない物語」になっている。
しかしまるっきり別ものだった事件も、最初の発端はつながっていて、そしてそれぞれが絡み合っている。
この複雑な話をよく作り上げたなぁ、とただただ驚嘆するばかりです。すごい。たぶん、俺が思っている以上にすごい。
バラバラ事件に関しても、「遺体を切り刻むことで、異常な状態から正常な状態へと戻ろうとしている」というのも、示唆的で興味深かった。憎いからバラバラにするんじゃない、分けたほうが運びやすいからバラバラにするんだ、と。とても単純で、日常的な思考。
ワイドショウで評論家が「ゲーム世代は現実と虚構の境目が曖昧で、異常なことを異常だと思わなくなってしまった」とかお決まりの言葉を言っていたけど……ふむ。境目とは、実は魍魎を現すキーワードなんですが。なんとも示唆的ですね。多分気のせいだけど。そして現実と虚構の境目が曖昧になったのかどうかなんて(あるかどうかさえも)知らないけど。


あとどうでもいいけど、なんかBLが作りやすそうだなぁ、と思ったりした。
男が多くてキャラが立ってるからか。
たぶん、誰かやってる気がする。
まあ、どうでもいいけど。