地獄少女 二籠

なんかおもしろい。
深夜零時にのみアクセスできる地獄通信というサイトで恨む相手の名前を書けば地獄少女が恨みを晴らしてくれる、という話。しかし地獄に送ったら、自分も死後に地獄に行くことが定められてしまう。依頼者はそれでも地獄に送るのか、何がそんなに駆り立てるのかを描いていく、そんな話の第二シーズン。
第一シーズンは、ぶっちゃけつまらなかった。むしろひどかった。
動機が薄すぎる。展開に無理がある。選択肢が「地獄に送る」「やめる」というふたつしかなく、その葛藤がメインであるはずなのに、結局、無茶な動機と展開で送ることに決めるから(やめたエピソードってなかったような)、ご都合主義で興ざめだとか。後味だけは悪いし。能登麻美子の声も毎回同じセリフだけで聞きごたえがなかったし。
そりゃあ、泣けてきましたよ。


対して、第二シーズンである今回は、なんか特色が出てきたというか。
「地獄に送る」「やめる」という葛藤の用い方の切り口が変わったのかもしれないが。とにかく、変化球がびしっと決まってる印象。
今回なんて、自分で殺しにいっちゃったよ! 第一シーズンから「そんなに地獄に送りたいなら自分で直接送ってやれよ」と思いつづけていた人間だけに、ちょっとこの展開に感動しました。しかも、単に地獄少女への依頼をやめて自分でいくことにした、というわけではない。そこには多重構造によるサプライズがあり、地獄送りという(いわば水戸黄門の印籠と同じような)番組的お約束も最低限達成しつつ、へたれ少年の成長も描くことに成功し、それゆえに後味の悪さの中にも不思議な清涼感がある――そんないい感じのエピソードに仕上がっていた。
ぶっちゃけ第二シーズンが始まると聞いたときは「なんで?」と当惑し、「どうせ」とあきらめた。でもとりあえず最初だけは見てみようかなと思ったら、存外、そこそこの出来だった。普通のアニメくらいには楽しめた。
ためしにその次も見てみたら、こっちは普通におもしろかったし。それ以降も、わりとおもしろい。
これからも期待して見ていくと思う。


何が違うのだろう、と思うが……。
多分、エピソードそのものは第一シーズンとそんなに変わらないと思うのだ。
描き方かもしれない。
「人ひとりをを殺して、自分の未来も絶望に満ちる」という、ある種異常な選択をする人間の描き方。その説得力の有無。その違いではないか、と。
つまり前のは、俺の小説みたいなんでしょうね。人間がいきなりなぜか決意する、みたいな。


ここでスタッフがどう変わったかとかを比較するとおもしろいのかもしれないなぁ。そこまではしないけど。