『ドリームノッカー』続き

 ふと、「この文章の問題点は俺の文章の問題点と同じ種類のものではないか」と思ったわけです。これは反面教師のチャンスかも。検証してもらうためには誰かに読んでもらわなければならないけれど、読めといって読ませるのはなんとなく抵抗感。芸もない。
 というわけで、読みたくなるような紹介をしようと思い直しました。
 作品のおもしろさをメインに紹介するわけだから、おもしろい部分を抽出する能力も必要となるだろうし。


 その学校の演劇部には、いわくつきの演目があった。
 『トイボックス』。
 その脚本を書いた天才少女は、その劇が上演される前に死んでしまったという。
 それを今年の文化祭で、五年ぶりに上演する。
 主人公のチョコ(演劇部でつけられたあだ名)は一年生ながらその主役を演じることになった。
 そしてそのリハーサル中、演出で使われるはずの携帯電話に、知らない少女から電話がかかってくる。「早く私を見つけて」。そんなメッセージを残して、電話は切れてしまった――。
 チョコは、お嬢様然とした夢野ほとり(チョコと同じあだ名)、そして時期外れな新入部員の有栖川恋――アリスとともに、この事件を突き止めるべく動き出すのだが……事件は意外な方向へと転がっていく。

 事件に首を突っ込んでますます事件をややこしくしていく爆弾探偵娘の犬飼先輩、あらゆる情報を裏で操るコンピューター部の美少女部長渡辺先輩といったヒマ人――もとい協力者によって、チョコは『トイボックス』という演劇の中に内包された、夢の世界へと踏み出していく。


 ……って、ネタバレを気にしてたら具体的に書けないし、具体的に書けないとおもしろさを伝えづらいジレンマ……。
 うーむ。
 とりあえず百合百合してます。
 更衣室で戯れるシーンより、目覚めに女の子にキスをされるシーンより、ほとりが自分の口紅をボーイッシュなチョコの唇に塗るシーンが何よりエロい。


「きれいですよ……」
 囁きのような、かすかに耳に届くほどの声音で夢野が呟いた。
 どこか熱っぽく潤んでいる瞳がそこにある。
 そして、今塗られているものと同じ色の唇が動いた。
「甘くて美味しそう」


 ごちそうさまでした。
 ……って、俺が楽しんじゃダメやんけー。