『火目の巫女 巻ノ三』

火目の巫女〈巻ノ3〉 (電撃文庫)

火目の巫女〈巻ノ3〉 (電撃文庫)

読了。
んー。なんだろ。
まあ、話のほうはしっかりしていて、現在の僕には及びもつかない方向へと物語は進んでいて、それはそれでけっこうなことだと思うのですが。
どうも興味が湧かない。
以前、友人が火目の一巻の入浴シーンに関してこう漏らしたことがありました。
「最初にイラストだけぱらぱらめくったときに、お風呂のシーンがあって、わくわくしたわけ。ああ、女の子どうしの湯浴みで、あーんなことやこーんなことが描かれるのかな!? って。けど実際に読んでみたらそんなことはなくて、常和の体にある火傷のあとを発見して、その話をしただけ。話としての必然性はあるけど、期待した萌え萌えな展開はなかったから、ちょっと肩透かし」と、まあ記憶に頼った意訳ですが、そんなことを言ってたわけです。


火目の三巻もそうかなぁ、と思うわけです。
物語はある。しかし単純な娯楽性が欠如している。
例えば今回は戦闘シーンがいくつかありますが、特に燃えない。燃える、とは手に汗握るドキドキ感ですかね。戦闘の駆け引きが、あるにはありますが、前面に出てこない。
というわけで、全体的にあまりにも飾りがなく、ストイックな印象。
まあ、今回の話にはとある仕掛けがあるわけですが、他があまりにも飾らないせいか「……ん?」と微妙な反応しかできなかった。意外すぎて、驚く準備ができなかったわけです。いや、意外すぎたということはないか。なんとなく予感めいたものはあったけれど、娯楽性に対する感覚が作中通してほとんどなかったために麻痺してしまって、それがゆえに反応できなかったのか? んー。とにかく、仕掛けに関してはいまひとつでした。


だから電撃hpあたりで、火垂苑での御明かしたちの日常とか、本編の熾烈な物語とは関係しないサブエピソードを書いてみてほしいなぁ、と思うのですが。
個人的には伊月とほの……じゃなかった、佳乃との出会いを描いてほしいところですが、それは本編にも関わるので、もっとまったりとした、茜と桐葉のはじめてのおつかい、みたいなのをほんわかムードで書いてほしい。……んー、書き手が杉井さんでそれはありえない気がするけれど(苦笑)
まあ、勝手に期待するところ。俺がなんと言おうと、本人は進むべき方向に進むでしょうし。


ところで、あとがきの「小麦粉安い!」は、ちょっと前に他のプロ作家の人が言ってるのを目撃したのですが……むぅ。そうか。プロならば誰もが通る道なのか。小麦粉と塩と水だけの生活。
実は僕も一度だけ試してみたことがあるんですがね。小麦粉だけ食事。
味しねーよ!
実家が農家であることに感謝しました。米最高――って書くと、なんかアメリカ賛美してるみたいでやだな……。