清涼in流水

コズミック流 (講談社文庫)

コズミック流 (講談社文庫)

ジョーカー清 (講談社文庫)

ジョーカー清 (講談社文庫)

ジョーカー涼 (講談社文庫)

ジョーカー涼 (講談社文庫)

コズミック水 (講談社文庫)

コズミック水 (講談社文庫)


初・清涼院流水
電車通勤往復四時間という環境において、いまさらながらようやく手をつける気が起きたので。
ちなみに上の順番は読んだ順番。間違えたわけでなく、これが作者の進める読書順らしい。
と、そんな本来は続けて読むべき上下巻を分解してひとつの話をはさみこむとか、トリッキーなことをやらかす作者。
その噂はあれこれ聞いていたけど……うひゃあ。
なんじゃこりゃ。


例えば、なんだろ。
1994年1月1日になった瞬間、警察やマスコミにいっせいに「今年のうちに日本中で1200人が1200個の密室で殺される」という犯行声明が送られてくる。(コズミック流)
で、上巻にあたるこの『コズミック流』では、前半の200ページほどはひたすらに密室殺人が繰り返されまくるだけ。
いやまあ、もちろんただ垂れ流すだけでなく、その殺される人たち、またそれに関わった人たち一人ひとりには濃厚な過去があり、それ以上の苛烈な想いがあり、あるいは苛烈な葛藤にさいなまれている最中だったり――とにかく、それぞれに人生のドラマがある。
が、そんな人たちが、とにかくただただ殺されていく。
その偏執的なまでの密室への情熱にはただただ脱帽。
なんだろう。やっぱ世の中にはいるのかなぁ、言うなれば密室萌え、みたいなものが。
その属性がない俺にはちょっと5,6件あたりで食傷ぎみになってきてたのだけど……言うなれば、起承転結の転までしかない短編小説を次々と見せられているようなものだから。
まあ、もちろんその連続密室殺人には驚くべき真相があったりして、さらにその裏があったり、真の謎、真の真相と、とにかくあれこれ入り組んでくるのだけど。こりゃ賛否両論出てくるのもわかる。
まあ、そんなコズミックもジョーカーのほうからすれば、十分にわかりやすい気はしたけど。
いやはやいやはや。
カーニバル(三部作合計4200枚)に手を出せる日はくるのだろうか……。


でもある意味、「ああ、ここまでやっちゃっていいのか」というはっとする思いはありましたな。
物語は、自由だ!