神様のメモ帳

神様のメモ帳 (電撃文庫)

神様のメモ帳 (電撃文庫)

見よ、これが杉井光なるぞ!
思わず叫んでしまうほどの、杉井さんっぽさがつまってました。
はい、言わずと知れた我らの杉井さんの進退をかけた新シリーズ(いや、シリーズではないか。本当にシリーズ化する予定なら背表紙に(1)と書かれる、というのを聞いたことがある)。
読了いたしました。


なぜか寺と墓地が多い都心の街で、ネガティブで面倒くさい性格の主人公が明るくてちょっと天然な女の子に引っぱりまわされて、いろんなニートたちと出会っていき、やがてひとつの事件に巻き込まれる話。
全開です。
僕らの愛した杉井さんの正統進化です。
なんだろう。
これでデビューすればよかったんじゃないか、と僕が思ってしまってはダメでしょうか?
やはり、百合の花咲く雰囲気の平安な後宮じゃなくて、ちょっとすえた臭いがする灰色の路地裏でこそ杉井さんの真価は発揮されると思うんですよ。どっか悟りきった感じでいろんなことをあきらめている主人公の一人称でないと。


ああ、おもしろかった。
ほとんど一気で読みました。
でも結局「神様のメモ帳」って何のことでしょう? なんとなくはわかるんですけど、出典が書いてなかった。また、タイトルにするほど物語に関係するかっていうと、『狼と香辛料』の香辛料と同じくらい感じなかった。
それと的確なハッタリはどこから出てくるのでしょうか。まさか園芸部の出というはずでもなしに。やっぱ、調べたのかなぁ。
最後に、あとがき1P目の黒さが横読みの可能性を感じさせるのですが、どうなんでしょうか。


とにかく。
火目で(たぶん)コケてその身の進退を左右するであろうこの作品。
売れて、ちゃんとシリーズになることを祈るばかりです。
俺はおもしろいと思うんだけど、紹介の扱いが悪い気がするので、みんなが手に取るかがまず不安。おもしろい作品も、人の目に触れなければ読まれることはない。
みんな、手に取ろう!
そして定価で買おう!