ダイヤ

今度結婚する人に婚約指輪を見せてもらった。
「じゃあさっそく燃やしてみましょう」と冗談を言ってみた。
ひとしきり笑った後「まあ、燃えへんやろけどな」と言われた。
む。
そんなはずはない燃えるだろ、となんとなく思ったけど、よくよく考えればたしかに燃えない気がする。
そもそもその知識をどこで俺は手に入れたのか。思い返してみた。
あれは小学校のとき。
理科の先生に「ダイヤは炭素なので燃えます。家に帰ったらお母さんの指輪に火をつけてごらんなさい、燃えるから。まあ、怒られても先生は知らないけどね(笑)」という言葉を真に受けて、ずっと知識として蓄えていた。備長炭でさえ半端な火種じゃろくに火がつかないのに、ダイヤみたいに安定した原子配列の炭素にそう簡単に火がつくとは思えない(や、化学とかよく覚えてないけど)。
うぅむ。
幼少期に聞かされた大人の無邪気な戯言って、意外と常識として刷りこまれてますよね。